心 ―ハジマリノウタ―





私を連れ出した主を見るなり

微笑を見せた若い男は、

やっとボタンを

掛け違えていることに気がついた。


慌てて直す彼を待っていると、

再びドアが開く音が聞こえた。

気がつけば、主は視界から消えていた。


新しく入ってきたモノに

押し倒されたようだ。



「リオぉー!おかえり!!

ずっと待ってたんだよぉ?」




高い声で彼に覆いかぶさっているモノは言った。


どうやら女の子のようだ。


起き上がった主に抱きついて、

顔を綻ばせている。


主は私を見ながら、しどろもどろに言う。


一体何に慌てているのだろうか。




「こ、こいつは、えっと、

僕の妹みたいなもので、

恋人とか、そういうのではなくて…」




「リオぉ、何言ってるの?

っていうか、こいつ誰?」




私に向けた言葉ではなく、

彼に向けられた言葉だった。


別に構わなかった。


そういう扱いには慣れているし、

どっちみち私に感情はないのだから。