心 ―ハジマリノウタ―




齧る。


敵は姿を見られたくなかったのだろうか。


わざわざ暗闇にしてから、

齧るくらいなのだ。


それとも、暗闇の中でしか

奇襲できない理由でもあるのだろうか…?


それにしても、一体どんなモノが?



「齧る…。

それから?」



ジグの言葉に、

始めに話していた男が口を開く。




「その歯形はもう、傷に埋もれて、

どんなものなのかさえ……

それから、誰かの嘲笑うような声を聞きました。

そして、激痛が襲ってきたのです。

まるで、苦しみの渦の中にいるようでした。

叫んでも叫んでも、

止まらない痛みと、覆われた暗闇に

狂いました。

どうして、ここに運ばれたのかも

分からないのです」




ジグの話では、

このアジトの前に、何者かによって

彼らは運ばれてきたそうだ。


だが、この様子では、

何もわかることは無いだろう。


ただ、危険が一つ増した、

ということが分かっただけだ。




「よろしい。

ご苦労だったな。

本当に元通りになってよかった。

後はゆっくり休んでくれ」