再びリビングに集まった能力者。
ジグによって伝えられた衝撃の事実。
ロックが、消えた…?
驚きを隠せない様子の能力者たちに、
ジグは命を下した。
「ロックは死んだ、というわけではない。
同行した能力者は、
皆返ってきたが、ショックで口を開こうとせん。
新種のドレイが生まれた可能性がある。
皆、気をつけるように。
そして…
これより、このアジトは
私が仕切ることになった」
解散となった後、
ジグが私を呼び止めた。
その表情には、何の感情も無い。
まるで、心が無いかのように。
まるで、昔の私のように。
ロックを失った悲しみも無ければ、
その行方を案ずる心配も無い。
リーダーを任された喜びも無ければ、
この先の不安も無い。
ただ灰色の瞳は、
いつも変わらず、強い志を放つ。
「ユア、お前に頼みたいことがある。
ロックと共に任務にでていた能力者のケアだ。
傷も少なからず負っておる。
既に、消毒などは済ませて、
傷も検査済みだ。
お前の力で治療してもらえないだろうか」
断る理由など無かった。
私は頷いて、
そのままその足で、治療室へ向かった。