心 ―ハジマリノウタ―




私は、レイを少しでも救うことができたのだろうか。


分からなかった。


けれど、少し顔が晴れたようで、

私は安心した。


用がある、と言ってレイが屋上を後にし、

私は暗くなるまで

屋上で、闇に沈む街並みを見ていた。


ポツリポツリと灯りが灯り始めた頃、

ようやく私は手すりから離れ

屋上から階段を下り始めた。


リオのことを考えていた。


彼が今、何処にいるのか。


何をしているのか。


特別任務の内容。


メイの私用。


何一つとして私に分かるモノはなかったが、

考えずにはいられなかったのだ。


分からない。


分からない。


分からないという事が

こんなにも苦しいモノだと

私は長い間知らずに生きてきたのか。


私は、どうしたらいいのだろうか。


その時、暗い廊下で誰かにぶつかってしまった。


以前にも、確か、こんなことが…。


そう、リオと。




「リオさん?」


「どこ見て歩いてる?

気をつけろよ…お前は、ユア!」




それは、リオではなかった。


その代わり、何時か私に掴みかかって来た男だった。


顎と鼻の下の髭を蓄えた男は、

あの時と同じように私をにらみつけた。