心 ―ハジマリノウタ―





リヴィアの曇った表情の理由は分からぬまま、

ロックは屋上を去っていき、

私たちは風に吹かれていた。


リヴィアの表情は、

平淡で、まっすぐに街を見つめている。


何を思うのかは、

心を持った今でも分からないままだ。




「ねぇ、ユア」




前を向いたまま、こちらを見ずに

リヴィアは私を呼んだ。




「アンタ、さっき頷いたね。

あたしの弟子になるって言われたとき、

迷わなかったの?

本当に、いいのかい?」




何故リヴィアはそんなことを尋ねるのだろう。


私は自分の意志で、

頷いて、決断したというのに。


寧ろ……

迷っているのは、リヴィアの方に見える。




「私は…リヴィアさんの

弟子になりたい、と思ったから頷きました。

そこに迷いも、躊躇いもありません」


「アンタは、本当に変わったね。

あたしは、どうかな…」




それっきり、リヴィアは空を見上げて

何も話すことはなかった。