すると彼は私の方へ歩いてきた。
そして、頼りない鉄の手すりに寄りかかる。
私は再び前を向いた。
「そういえば、ユアの歌を聴いた人の傷が
治りやすくなってるんだってさ。
だから、ユアの歌には
治癒能力もあるんじゃないかって、
ジグ爺さんがいってた。
怪我人のために歌わせたいんだってさ。
ユアも大変だな」
私は首を振った。
それでも、意味は無い。
私は、その力にもし、治癒能力があったとしても、
リヴィアを助けられなかった。
助けたかった人を助けられなかった能力に、
何の意味があるというのだろう。
「俺ね、リヴィアの治療に
あたった奴に聞いたんだけどさ。
リヴィアの傷は、全部ふさがっていて…」
私は、歌いだした。
リヴィアのことは今はまだ、聞きたくない。
いつなら、聞けるのだろう?
いつか、この歌を歌う日々は終わるのだろうか?

