心 ―ハジマリノウタ―




その時、ヒュウと私の髪を掠って、

何かが横を飛んで行った。


目を開けると、

そこにドレイの姿は無く、

ただ宙に舞う灰と

硬い音を立てて落ちるナイフがあるだけだった。


ドレイは、クリスタルに触れると

灰と化す。


そのナイフはクリスタルの、

能力者のもので、

灰は、ドレイ。


そして、後ろから声が聞こえた。




「あっちゃー。

またしくじっちゃったよ。

怒られちゃうなぁ」




私は後ろを振り返った。


そこには、独りの男が居た。


漆黒のカールした髪、白い肌。


何より際立つ、紅い瞳。


口元は、カーブを描き、

笑みを作り出している。




「ヒュウッ。

かっわいいなぁ、君!

すっごいタイプ。

能力者は、全滅って言われてるんだけど、

君がもし、俺と来るって言うなら、

助けてあげてもいいよ」