心 ―ハジマリノウタ―




リオは、そう言うと、

もう行かないと!

と言って行ってしまった。


私は再び部屋に戻ろうと、廊下を歩き始める。


大切。


レイもリオも、同じことを言う。


だが、それは私には理解できない。


心が無いから。


そんな風に、感じることはできない。


ならば、私は人のために行動できないのだろうか。


結局、私にはよく分からないままなのだろうか。


答えはでない。


私に分かることといえば、それくらいなのだ。


私は、扉をあけた。


部屋にはリヴィアが居た。


私が入ってきたことに気がつくと、

リヴィアはこちらを向いて、

ぎこちなく頷いた。




「ああ、ユア。

アンタも聞いたでしょ。

荷造りを始めるよ」




私は頷いて、部屋に足を踏み入れた。


リヴィアは大きな黒いトランクを

タンスの前に広げて

中身をどんどん移していた。


私の持ち物は、何も無い。


だとしたら、荷造りなど必要ない。