心 ―ハジマリノウタ―




立ち上がった私の姿を見つめる主。


その目は舐めるように私を眺め回す。




「美しい。

奴隷にしておくのが惜しいほどに、

美しいな。

どうだ、私に仕えないか?」




私は美しいといわれても何も感じない。


当たり前だ。


主が反応を待っても、

私には嬉しさ、

喜びのかけらも浮かばない。


貴方が心を奪ったから。


私が答えかねていると、

主は、まあよい。と言い、

私を見据え、笑みを浮かべた。




「奴隷よ、名は何と言う?」



「私の名前は、奴隷。

奴隷No.6です、主様」




ドレイの番号は001000から始まる。


心亡き者は、1桁から2桁までの番号をつけられる。


私は6という番号をつけられ、


以後奴隷を区別する必要があれば

そう呼ばれてきた。


名前に値するものと言えば、

この番号しかない。