「まずは、周りの人を
笑顔にすることから始めよう!」
笑顔。
私が、笑顔にする…?
レイは、屋上の手すりに背中を預けて、続けた。
「例えば、治療班を手伝うとき、
命令だから、仕事だから
そう思うんじゃなくて、
この人にもう一度元気になって
笑って欲しいって思って手当てする、とか!
誰か困っている人が居たら、
助けてあげる、とか。
誰かのために、ってそういうことだと思うよ」
人が笑顔になることをする。
それが人のため?
そうしたら、私も笑えるようになるのだろうか。
そして、私は果たして、笑いたいのだろうか。
奴隷ではないなら、
笑うことも許されるのだろうか。
「レイさん、ありがとうございます」
私は頭を下げた。
すると、レイは声を上げて笑った。
「ははっ、なんか語っちゃったな!
俺、クサイことばっかり言ってたし。
なんか恥ずかしい」