心 ―ハジマリノウタ―






ドアの奥からねっとりとした声が

響いてきた。


見張り番の腕がピクリと動きをやめた。




「入り給え」




震える声で見張り番は、

失礼致します、

と言うとドアノブを引いた。


開いたドアの先に広がる黒い部屋。


家具は全て黒で統一され、

壁も床も全て黒。


その中で木製の机だけがやけに際立って見えた。


そこに背を向けて座っているのは、

恐らくいや、

絶対にこの部屋の持ち主、

主だ。


こちらに身体を向けようともせず、

ここからでは肩と腕しか見えない。


それらは全て、黒のスーツに包まれていた。


どうやら、主様は暗い色が好きらしい。


部屋と言い、

机の茶の色と言い、

ドレスの色といい。