しょうがい

写真に見られる人物は、肩にかかるくらいの髪で、そのことから女性と推測された。しかしながら後ろを向いているため、顔を確認することは出来なかった。彼女は黒い服を着ていて、あまりにもその人物が背景と交わっているために、僕はなかなか見出だすことが出来なかったのだ。

「まさか、幽霊捜しでもする気なのかい?」

僕は携帯電話から顔をあげ、翔の顔を見ながら言った。

「ああ、そうだ。その廃墟、けっこう近くだぜ。サイト見てたらさ、その画像見つけたんだ。これは確かめに行くしかないだろう」

彼は興奮し、やや体を震わせていた。

「でも、ガセじゃないのかな。合成写真だったりしてね」

「だから確かめに行くんだろう。真実を確認するために。あ、もしかして大地は怖いのか」

「いや、そんなことはないさ」

「それなら別に構わないだろう。今から行こうぜ」

僕は断ることも出来ず、半ば無理やり連れられていった。まだ辺りは明るかったがそんなの関係なしに、僕らは心霊スポットへと向かった。

これが僕の夜遊びのはじまりである。カラオケに行って歌ったり、ゲームセンターで遊ぶわけではなく、僕にとっての夜遊びは心霊スポットの見学であった。子供みたいだと馬鹿にする人もいるかもしれない。だが、これが予想以上に面白いのだ。