しょうがい

僕は目を凝らして彼の携帯電話の画面を見つめた。

その画像はとある廃墟の中らしい。辺りは薄暗く、数本の柱がその廃墟の全てを支えているかのようだった。

僕は数秒間その画面を眺めていたが、その画像を見せた彼の意図がいまいち理解出来なかった。仕方なく、僕は彼に尋ねてみることにした。

「この廃墟が何だと言うんだ？これだけでは分からないよ、説明してくれ」

「え、分からないのか。困ったな。ほらもう一度見てみろよ、この左下に注目しながらさ」

僕は彼に言われるがまま、再び画面へと目を移した。彼が言うように画像左下を意識しつつ。

それでも僕はその写真の中から何かを見出だすことは出来なかった。一分近くも眺めていたが、ただの廃墟の写真だとしか認識することが出来ない。

すると、それを見兼ねた彼が僕にさらなる助言を与えてくれた。彼は画面の左下を直接指差して言った。「ほら、ここだよ。ここに注目するんだ」

そのおかげで、僕はようやく全てを悟ることに成功した。ずいぶんと長かったが、いよいよ真相がつかめそうである。

彼が指差す部分には、うっすらと人影が見えたのだ。その人影は背景とシンクロし、独特の恐怖を僕に与えた。それはいわゆる、心霊写真とか呼ばれる類のものであった。