「独りで行くのが怖かったんだろう」

「そういうわけじゃないさ。ただ、やはり独りで行ってもつまらないだろう。独りでお化け屋敷に入るか?」

「いや、さすがにそれはないな。それ以前に独りで遊園地には行かないからね」

僕は軽い皮肉混じりに言った。

「それでもちろん放課後、例の廃墟に行くよな?」

翔は僕が行かないわけがない、とでも言うような口調で述べた。

しかし僕はそんな彼の思いとは裏腹に、ややうつむいてしばらく考え込んだ。彼はその僕の行動を予想していなかったらしく、ちょっとばかし戸惑っていた。

僕は重々しく口を開いた。「今日はやめておくよ」

「え、どうして」翔は驚いたように大声を出したが、しばらくすると僕の言葉の真意を見つけ出した。「ああ……そうか、そうだよな。仕方ない。じゃあ様々な諸事情について、落ち着いたらまた誘うとするよ」

「ごめんな、気を遣わせちゃって。あ、そうだ。僕の代わりといっちゃなんだけど、あいつを連れていけよ。僕より頼りになる奴だぞ」

「あいつ?」翔は僕の言葉に首を傾げた。だがすぐさま理解し、僕に相槌を打つようにして何度か頷いた。「ああ、あいつかぁ」

ここで僕ら二人が言う「あいつ」について、簡単な紹介、さらにはこの件と彼の関連性を述べるとしよう。