しょうがい

廃墟内は大抵の廃墟がそうであるようにガランとしていて、外の明るさに比べたら断然に暗かった。そのせいで足元がもたつき、僕は何度も転びそうになってしまった。

いくつもの窓が淡い光を注ぎ、ほこりかぶった床が歴史を感じさせた。いくつもの部屋があり、中には多くの机が並べられていた。そしてその部屋の入口には「4―1」という表札が飾ってあった。

「学校だったのか」

僕は思わず口に出して言った。

外観があまりにも古びれていたため、外からではこの廃墟が学校だと見当がつかなかったのだ。中に入ることによって初めて、この廃墟が何たるかを知ることが出来た。

「小学校みたいだな。いいじゃん、いわゆる学校の怪談だ」

翔が微笑みながら言った。ここに来てからの彼は異様にテンションが高い。

僕らはそのまま、その「4―1」の教室に入り、暗くなるまで待つことにした。暇潰しに他の教室を見て回ったりもしたが、結局最後にはその教室に腰を落ち着かせることになった。

ただ黙っているのも気味が悪かったため、僕らは喋ることでそれを解消した。

「大地は何で彼女がいないんだ?」

唐突に彼が言った。僕はまさか彼がそんな話題を切り出すとは思っていなかったため、少々たじろいでしまった。