「けど……こんなのかわいそうじゃない」
「かわいそう? それはないな。そのクマは、傷つくために生まれたんだ」
ベアを抱き締めることに集中していた私は、ハッと顔をあげた。
ベアの綿が、こぼれ落ちた気配。
壮馬の顔が、すぐ近くにあった。
「このクマは、傷つくために生まれて、傷ついて初めて価値がある。そういうものなんだよ」
「っ、そ、そんなの……!」
「かわいそうか? このクマは体に包帯を巻いて、最初から自分が傷つく存在だってわかっていたのに?」
反論の余地を与えず、壮馬は言葉を接いだ。
「一ノ瀬……お前さ、自分が矛盾してるの、わかるか。自分が傷つくのはよくて、ほかが傷つくのはイヤなんて、おかしいだろ。お前を見てるヤツからしたら、お前はこのクマなんだぞ」
長い指が、私の腕に包まれているベアの頬を撫でる。
「傷は、負った本人だけが痛いんじゃない。それを見てるヤツ、知ってるヤツも痛いんだ。心がな。お前にもいるんだろ。お前がコイツを心配するみたいに、お前を心配してるヤツが」
頭の中に、小学校から腐れ縁の顔が浮かんだ。
「かわいそう? それはないな。そのクマは、傷つくために生まれたんだ」
ベアを抱き締めることに集中していた私は、ハッと顔をあげた。
ベアの綿が、こぼれ落ちた気配。
壮馬の顔が、すぐ近くにあった。
「このクマは、傷つくために生まれて、傷ついて初めて価値がある。そういうものなんだよ」
「っ、そ、そんなの……!」
「かわいそうか? このクマは体に包帯を巻いて、最初から自分が傷つく存在だってわかっていたのに?」
反論の余地を与えず、壮馬は言葉を接いだ。
「一ノ瀬……お前さ、自分が矛盾してるの、わかるか。自分が傷つくのはよくて、ほかが傷つくのはイヤなんて、おかしいだろ。お前を見てるヤツからしたら、お前はこのクマなんだぞ」
長い指が、私の腕に包まれているベアの頬を撫でる。
「傷は、負った本人だけが痛いんじゃない。それを見てるヤツ、知ってるヤツも痛いんだ。心がな。お前にもいるんだろ。お前がコイツを心配するみたいに、お前を心配してるヤツが」
頭の中に、小学校から腐れ縁の顔が浮かんだ。

