テディベアは痛みを知らない

「傷はな、深いんだよ」

壮馬が、右手を何度かひねる。

クマを貫いてテーブルに刺さっていたハサミが、コっと抜けた。

「だから痛むし、だから麻痺する」

「!」

ダン!! と、また振り落とされるハサミ。ベアの右胸ねを、薄細い鉄板が貫いた。

まるで、自分の胸を串刺されたような、錯覚。

ハサミが抜かれ、

「だれにも迷惑をかけてない」

ダン!!

下腹部が、刺される。

「お前は、」

また抜いて、

「そう言った」

ダン!!

今度は右腕が突かれた。

「なんもかんも背負い込んで」

持ち上げられた右手が、

「自分ひとりで解決したつもりで」

何度も何度も、

「平気で自分を傷つけるがお前が」

ベアの全身を、

「それでも」

容赦なく、

「『上手くやってる』なんて言うのか」

串刺しにする。

「ふん。……あんまり俺を笑わせるなよ?」

ズタズタになったテディベアの目が、もう一度私を見た時――

「もうやめてよ……!!」

私は、かれがハサミを振り下ろす真下に、手を出していた。