テディベアは痛みを知らない

小百合が自分の机からノートを持ってきて、だれかさんへ見せていると、もうひとりいた友達がポンと肩を叩いてきた。

「レナ。アンタ、ノート取るの遅いって……まさかまだあんなことやってんの?」

長い黒髪を一本に結んでいる彼女は、運動部に所属している賀川ほたるだ。

小学からの腐れ縁になる。

私の『不自由』を、唯一私から教えた人間でもあった。つまり、親友だ。

「そうよ。なにか悪い?」

「悪いとかじゃないだろ? ふざけんなよ、あたしゃやめろって言ったじゃんか、ボケ」

ちなみに彼女は空手部だ。すぐ頭に血が昇るとこ、そして手が出るところが悪癖。

今も、襟首を掴まれた。とてもじゃないけど、親友同士の会話スタイルじゃないだろう。でもこれが、私達にしたら普通だ。

ここは教室、休み時間。周囲の目があるから、ほたるはあっさりと私を放した。

やや目をそらした彼女は、腕を組む。すぐゲンコツを握らないための自主規制か。