ちらりと、切れ長の目が一瞬、私を見た。
手はつくつく動きを止めない。
「お前さ、」
と私へ向けて。
「それ、リスカ、楽しいか」
遅いのはわかってる。それでも、右手首を背中側へ隠した。
「……アンタに、関係ないでしょ」
「ないな。全然ない。じゃあこの会話は終了だ。ユウ、放してやれよ」
なんなのよ、コイツ……。
「楽しいわけ、ないじゃない」
腹が立って、唾を吐くようにそれだけ言った。
もう行こう。帰って宿題をして、夕食を取ったらお風呂に入って、眠りの闇に浸ろう。
そこの栗毛のせいでどっと気持ちまで振り回されたから、こないだ買ったお香を焚いてみるのもいいかもしれない。
そんなことをドアまで進む四秒のうちに考え――
「お前、傷を理解してないんだな」
ふと聞こえた声に、つい振り返った。
壮馬は、相変わらずクマの背中を繕っている。こちらにはもう、一瞬の視線すらない。
腹が立って腹が立って、ついには煮え繰り返った。
無言で栗毛くんを睨むと、彼はまた『できた』風な笑みを見せた。
まるで、はぐらかされているみたい。
それなのに、「またね」と言われているようで――
私は最大限の不機嫌さで、部室のドアを力一杯に叩き閉めた。
手はつくつく動きを止めない。
「お前さ、」
と私へ向けて。
「それ、リスカ、楽しいか」
遅いのはわかってる。それでも、右手首を背中側へ隠した。
「……アンタに、関係ないでしょ」
「ないな。全然ない。じゃあこの会話は終了だ。ユウ、放してやれよ」
なんなのよ、コイツ……。
「楽しいわけ、ないじゃない」
腹が立って、唾を吐くようにそれだけ言った。
もう行こう。帰って宿題をして、夕食を取ったらお風呂に入って、眠りの闇に浸ろう。
そこの栗毛のせいでどっと気持ちまで振り回されたから、こないだ買ったお香を焚いてみるのもいいかもしれない。
そんなことをドアまで進む四秒のうちに考え――
「お前、傷を理解してないんだな」
ふと聞こえた声に、つい振り返った。
壮馬は、相変わらずクマの背中を繕っている。こちらにはもう、一瞬の視線すらない。
腹が立って腹が立って、ついには煮え繰り返った。
無言で栗毛くんを睨むと、彼はまた『できた』風な笑みを見せた。
まるで、はぐらかされているみたい。
それなのに、「またね」と言われているようで――
私は最大限の不機嫌さで、部室のドアを力一杯に叩き閉めた。

