耳から入る音は、BGMのように認識し辛いものだった


暴れる力も及ばず、ましてや喋ることも出来なくなった


恐怖が度を過ぎれば、人間狂う


喋るも、聞くも、動くも、絶望を味わっているかのように『もう終わりだと』それが見えているから何も出来なくなる


「ん?大丈夫そうだね。良かった。元気そうで何よりだ。俺も、頑張ったかいがあるな。

いやぁ、脱獄するのに苦労したよ」


「…………」


「君に会うために、俺、頑張ったんだよ。

ああ、もう離さない」


ぎゅっ、と力強い何かが伝わる


続けて手を引き、彼は私の部屋に入っていった


放心状態
さながら今の私はそれに近いけど、徐々に

現実逃避をしようとしていた頭が覚醒していった