終止符が打たれた
体にあった力が一気に抜けていき、気付けば目に涙が溜まっていた
終わった、やっと……
そう久々に味わった安心感に浸れば
「藤堂さん。まだ、終わってはませんよ」
私の心を見透かしたように、国本刑事がそんなことを言った
厳しくも、何かを諭すような眼差しが向けられる
「『あんただけ』が、終わっちゃいけないんだ。――終わりを、『渡してやりな』よ。
じゃないと、奴は引きずるぞ」
「――――」
それは、紛れもない『教え』だった
今の私がしなければならないことを教えられる
私が終わったと思っても、彼は『まだ』なんだ
そこに『私』がいる限り、彼は動き続ける
私――栂句琉希を愛しているという私が、まだ彼の中に残っているのだから


