――訂正、しよう
緊張感が漂っていたのは、『空間』からだ
『彼』からじゃない
でなければ、説明出来なかった
「すぐに、終わらせてあげるよ」
振り返り、満面の笑みで語りかける彼を
この状況下での笑顔
銃を持つ人、二人に狙われていようが彼に恐怖はなかった
肝が据わっているんじゃない、恐怖という感情が欠落しているよう
狂った思考
そんな彼がすることと言えば――銃をしまった
「な、ん……」
驚きしかない
隠れている二人は、そんな異常行動に気づいてないが
彼らが顔を出したら最後、彼は撃たれるだろう
しかもか、私から離れていく
部屋の中央――丁度、チョコフォンデュが置いてあるテーブル前まで、彼は進んでいた
火を点けたままの鍋
それを一瞥して、彼は台所に目を向けた
「――千葉さん」
穏やかな彼の声
国本刑事が叫んでいた名前を、今度は彼が口にする


