「俺はいいよ。こうしているだけで」
「今、あんまり人はいませんよ」
ちらほらと人もいたけど、どの人も位置からして、このベランダにいる人物を『誰か』なんて分かる訳がない
脱獄犯(かれ)が顔を出そうとも、気付かれる心配はない
念の為にと遠慮しているなら、大丈夫だと言ってみたが
一向に頷かない彼
「……。外は、要らないんだ」
「要らない、って……」
目線も合わせずに、彼はよく分からないことを言っていた
見ているの先は、私の部屋だろうけど、『目線』はもっと遠くを見ているようだった
「要らないモノは、必要ない。無駄は、省くものだ。邪魔は、邪魔。ゴミは、ゴミ。持っていて、ろくなことはないんだ。
生きにくい、この世界。産まれたからには、少しでも生きやすく。必要最低限のモノ――生きるにあたって、譲れないものがあれば、それだけいい。
贅沢(もち)すぎるは良くないんだ。荷が重い。それらをまとめられる技量(つよさ)があるなら、構わないが。――生憎、俺は弱くてね……」
「今、あんまり人はいませんよ」
ちらほらと人もいたけど、どの人も位置からして、このベランダにいる人物を『誰か』なんて分かる訳がない
脱獄犯(かれ)が顔を出そうとも、気付かれる心配はない
念の為にと遠慮しているなら、大丈夫だと言ってみたが
一向に頷かない彼
「……。外は、要らないんだ」
「要らない、って……」
目線も合わせずに、彼はよく分からないことを言っていた
見ているの先は、私の部屋だろうけど、『目線』はもっと遠くを見ているようだった
「要らないモノは、必要ない。無駄は、省くものだ。邪魔は、邪魔。ゴミは、ゴミ。持っていて、ろくなことはないんだ。
生きにくい、この世界。産まれたからには、少しでも生きやすく。必要最低限のモノ――生きるにあたって、譲れないものがあれば、それだけいい。
贅沢(もち)すぎるは良くないんだ。荷が重い。それらをまとめられる技量(つよさ)があるなら、構わないが。――生憎、俺は弱くてね……」


