冷蔵庫に食材を詰めていた彼だが、聞かれた為かこちらに近づき


「何って、これだよ」


ボストンバックから、有り得ないものを出した


ケータイ

言わずもがな、彼の私物だ


むかっ、ときた


私のケータイを壊したくせして、自分はのうのうとケータイを所持しているなんて


「……ずるい」


ぼそりと、呟いた
しまった、本音が、と思うも言ってしまったことに取り消しは聞かず、彼の耳に入った


安易だった
仮にも彼は、銃を持っているのに、馬鹿なことを口にしたと身を強ばらせた


「ずるい……?ああ、なるほど。

ごめんね。彩芭のケータイを壊したのは、邪魔をされないようにだ。

二人の世界に、どこかの奴から、電話がかかってきたら、ムードがぶち壊しだろ?

その点、俺のこれは、誰からも連絡はかかってこない。あくまでも、俺が、発信するだけ。

こうして、食材を注文したりとか、生活に必要最低限のことをする為にあるんだ」