ヤンデレ彼氏に監禁されて

温かく、感触もいいのに


鼻孔を掠める匂いが、私を眠らせてはくれなかった


鉄錆の匂い

ちょっと離れれば匂わないほどの香り

けど、こうも密着をすれば、嫌でも分かる


この香りの出どころは、彼のシャツから


私の風呂上がりに、彼は黒いシャツを着ていた


『彩芭が照れるから、着てあげたよ』と、嬉しいような、苛つくような理由で着たらしい


一番、汚れてないような服


実際、こう密着するまでは、『何だ、綺麗な服もあったのか』なんて思っていたのに……甘かった



鉄錆に、水を交えたよう


ああ、きっとあの鉄パイプの匂いが伝染したんだ


そうに違いないと、身勝手にそれにした


身を丸めながら、半ば、臨戦態勢のようだった


いつでも、逃げれるように


だから、まったりなんか出来ずに、緊張したままの頭は、眠りにつくことはなかった