紺碧の地図


「……そっか」


ゼンの中では、もうサンは大切な兄弟なんだね。


過去の辛い出来事を…優しく包み込むことができるくらい。


「よかったね、ゼン」


ただ単純に、嬉しくて。


ゼンのあんな苦しそうな表情を、もう見なくていいんだって…安心して。


精一杯の笑顔を向けると、手を引かれた。


…私の体は、ゼンの腕に優しく包まれていた。


「……っ、ゼン?」


「………」


名前を呼ぶと、ゼンは返事の代わりに私を強く抱きしめる。


その力強さに、その中に含まれる優しさに…胸が苦しくなる。


唇を結んだとき、ゼンの声が耳元で響いた。



「―――…行くの?」



その言葉の意味を理解するのに、少し時間がかかった。


それが、私がサンについて行くのかって意味だとわかった瞬間…心臓が激しく脈を打った。


「………」


苦しいよ、ゼン。


どちらも選べない、でもどちらかを選ばなきゃいけない辛さが…私に重くのしかかってくる。