胸が、じわりと熱くなる。


揺れそうになる視界の奥で、ゼンが微笑んだ。


「…ありがとう、ララ」


―――ずるいよ、ゼン。


そんな笑顔見せられたら、もっとゼンが好きになる。


…もっと、ゼンの"特別"になりたくなる。



ゼンを知れば知るほど、私は惹かれていく。


もう、手遅れだよ。

ロジーが大切なのに、大切なはずなのに。


それ以上に、ゼンのことが大切になってる。



どうすればいいの?


私はこのまま、ロジーを忘れてゼンのそばにいていいの?


…それはダメ。

私がこの船に乗ったのは、ロジーを探し出すためなんだから。



ぐるぐる、ぐるぐると思考が廻る。


レキのおどけた仕草、ニーナの怒声…ゼンのため息。


居心地のいい場所を、大切な人たちを知った私には、答えが出せない。



もし、ロジーが目の前に現れたら。


私はどんな答えを選ぶの?