先頭にイズラ、次にゼン、私、ニーナが続く。


その後ろには、数人のイズラの仲間たちがいた。



イズラは堂々と市場の真ん中を歩いて、奥へ進んでいく。


大勢の人が行き交う市場だからか、誰も私たちが手を縛られているなんて、気づいていないみたい。


「………」


ふと、視界の端で捉えた二人の人たちが、私たちを見て何か話していることに気がついた。


その人たちは嫌な笑みを浮かべながら、ちらちらとこっちを伺っている。



私は、その行動に違和感を覚えた。


私たちを見て…楽しんでるみたい。



これじゃ、まるで―――…


「相変わらず嫌なところね」


私の真後ろで、ニーナが小さく呟いた。


私は足を止めず、前を向いたまま「え?」と訊き返す。


「…大半は知ってるのよ。この奥で、一体何が行われてるのかなんて」


―――人身売買。


闇市場では、奴隷の売り買いが行われる。