いつもならレキに何か言いそうなのに、今は口を閉じ、じっとどこかを見つめていた。


…ニーナ、どうしたんだろう?



いつもとは違うニーナの様子に、レキは気づいていないみたいだし。


ゼンは気づいていると思うのに、何も言わない。



私が何か声を掛けようとしたとき、ニーナの表情が曇った。


「…ねぇ、あれ」


ニーナの声に、私たちはそれぞれ反応した。


ニーナの視線を追った先には、Queen号と…別の船。


「…まさか」


ゼンの緊張を帯びた声を聞いて、私の体は強張った。


別の船の帆に描かれた、ドクロと―――



―――太陽。



それが何を指すかなんて、一目瞭然だった。


「…"ラー"!?」


さっきまではご機嫌だったレキも、さすがに顔色を変えた。


焦ったように、小舟を漕ぐスピードを上げる。


「まじかよっ…!大丈夫だろうなあいつら!」


レキの言葉で、嫌な予感が頭をよぎる。