「え」と声を上げたゼンの顔は、本当に嫌そうだった。


「だって、三人じゃ確かに少ないわ。何かあった時、レキじゃ頼りにならないし」


「おい!誰が頼りにならないって!?」


「他に女装似合いそうなやついないし。ゼンならバレないわよ」


レキを無視して、ニーナはにっこりと言った。


そして私を見て、「ね、ララ?」と同意を求めてきた。


「え―――っと…」


私は恐る恐るゼンを見た。


不機嫌オーラがすっごく出てる。



でも…


「レキもゼンも、似合うと思う」


ごめんね、レキ、ゼン。


二人の女装、見たいなって思っちゃったんだもん。



それに、私も気になるんだ。


禁断の花園、"ティナ"。



私のこの一言で、船の行き先は決定した。


「マジかよ…」


「………」





レキの呻き声と、ゼンのため息が、部屋の中で静かに混ざり合った。