ほんの僅かな微笑みだったのに、何故か…凄く印象に残った。


ほんのりと、頬が赤みを帯びた気がして、私は慌ててうつむいた。


夜だから…わからないかもしれないけど。


「…それで?」


話の先を促され、私は躊躇いつつも、口を開いた。


「…見つかって、海賊はすごい喜んでた。人魚の肉は、不老長寿の薬になるって言われてるから、って」


捕まったら、殺されちゃう。


そう直感した私は、すぐさま逃げ出した。


「慣れてない足で、必死に逃げた。靴は用意してたのに、それどころじゃなくて」


私は、自分の足を見下ろした。


せっかく手に入れた人間の足。


もう、こんなにボロボロになっちゃった。


「…だから、すごく助かりました。ありがとう」


顔を上げて、お礼を言った。