アオはいつもの公園へ行った。 学校帰り、制服のままだ。 アオというのはあだ名だけれど、 みんな彼の本名なんて覚えていない。 そのくらい、地味なやつだった。 髪は栗毛色で、のばしっぱなし、黒ブチめがね。 制服はブレザーの肩が少しあまっている。 地元の中学校へ通っていて、 地元の高校への進学も決まっていた。 春は目前に迫っていた。 桜はつぼみを膨らませた。 そう、春は迫っていたのだ。