「あっ、龍矢。動いた」


ソファーに座って母子手帳を読んでるとき。


赤ちゃんが動くのを感じた。


その声に、龍矢が急いで私のところにきた。


もうずいぶん大きくなったお腹。


それに龍矢も手を当てた。


「ほらまた。感じた?」


「ああ。感じた」


龍矢はものすごくうれしそうな顔をした。


「元気だね」


「それが一番だ」


「うん」


「で、美和はなに読んでた?」


「何って、母子手帳だけど?」


「その前」