なにをそんなに驚いているんだろう。私と大ちゃんが二人っきりでいるのが珍しいのかな? 大ちゃんもタクちゃんを確認したのか、小さく舌打ちして立ち上がる。 そしてタクちゃんの腕を掴むと、そのまま引っ張って屋上から去っていった。 この間わずか十数秒。まさに早業。 あれ? そういや羽生さんは? 生暖かい夜風が、柔らかく頬を撫でた。 「俺、ミューさんのことが好きなんです」