「へえ~。珍しい構成だね」
ことの経緯を包み隠さず全て話し終え、おばさんが淹れたくれた紅茶を口に運ぶ。
練習帰りに美優の見舞いにきてみたが、だいぶ体調が良いのか差し入れのプリンをペロリとたいあげて、クッキーにも手をだしているどうしようもないこの幼馴染。
プリンはお前にあげたやつだけど、そのクッキーはおばさんが俺にくれたやつなんですけど。どんだけ食い意地はってんですか。
寝込んでいたと聞いていたが、これだけ元気ならもう大丈夫だろう。ちょっと安心。
西日が窓から差し込んで、ベットに腰かけている美優の顔半分を紅く染める。
部屋が暗くなり始めたから壁についているスイッチを押そうと立ち上がる。と同時に、美優が話の続きを喋り始めた。
「アクセルを一本にしぼって、ルッツとフリップを二本。本田さんもなかなかの策士だねぇ~」
策士というより、鬼畜の方が合っているような気がする。
本田コーチに渡されたメモ用紙に書かれていたものは、フリープログラムの演技構成。CDにはスペイン奇想曲の編集済みの音源。
たった一日でここまで作ってくるとはさすが先生が認めることはあると関心したが、問題はその構成にある。