その横には友人のヤマト。この新聞を持ってきた張本人である。


「俺も驚いたよ。たまたま駅の売店で見かけてさ、思わず叫んじまったぜ」


その記事には大きく『男子フィギュアスケート史上最悪の事故』と見出しが書かれており、俺のことが書かれていた。


どうやらこの記事の俺は、意識不明の重体で今もアメリカの集中治療室で眠り続けているらしい。


ゴジップ記事もいいとこだ。


「この記事が本当なら、ここにいる俺は一体誰なんだろうな」


「タクの皮を被ったミューちゃんとか?」


「妙に納得感があるから止めろ」


クククと笑うヤマト。


この記事が出た時、ヤマトは俺のことが心配でわざわざ家まで押し掛けたということを、さっき母さんからぼそっと聞いた。


心配かけちまったんだな。