氷の女王に愛の手を


悩んだり考えたり苦しんだり、俺の知らないところで美優は一歩ずつ大人へと成長している。


なんだか出来損ないの妹が立派に成長したのを喜んでいる兄のような心境に陥ってむず痒い。


出来損ないは俺の方なんだけど。


「本当に本田さんがタクちゃんのことが嫌いなら、いくら先生のお願いだからって面倒見たりしないよ。なにかタクちゃんの好きなところがあるから指導してくれてるんじゃないの?」


「つまり、そのうちあのコーチも俺のことが好きになるってことか?」


「ザッツライト。ピッコロとおんなじようにね」


ピッコロとコーチを同じように考えるのは大変失礼なことだと思うが(というか失礼きわまりない)美優の言うことが正しいのなら、コーチは俺のある一点を好んで俺を指導しているということになる。


そしてそれは、フィギュアに関するなにか。


ジャンプ? スピン? ステップ? 自信があるのはスピンぐらいだが、スピンだけ気に入って俺のコーチになってくれるのだろうか?


でも、なんだか嬉しい。