氷の女王に愛の手を


だから緊張の糸が緩み過ぎてしまったのだろう。


「俺ってさ、性格悪いのかな?」


美優に愚痴をこぼしてしまったのは、きっとこの温かい雰囲気のせいなんだ。


「なにさ急に。タクちゃんが弱音を吐くなんて、明日は槍でも降るのかね~」


「いやさ、本田コーチと上手くいってないんだよ。指導はちゃんとしてくれるし、あの人のおかげで確実にレベルアップしてるのは実感してるんだけど、なんか俺に対して余所余所しいんだよな。本音を語ってくれないというか、なんというか」


本田コーチの元について数カ月経つが、コーチの俺に対する他人行儀な態度は変わっていない。


フィギュア以外のプライベートなことはなにも語らないし、俺から話しかけても無視して聞いてくれない。


これからもタッグを組んでいくのだから俺としてはコーチと仲良くなりたいんだが、あちらが俺を拒絶しては進展したくても進展できない。


正直、この人の下でやっていけるのか不安なのだ。


だから(好きでしているわけじゃないが)コーチを頻繁に変えて、それでいてコーチと良い関係を保っている美優に相談したのだけど。