しばらく中をきょろきょろと見回していると、奥から白いひげのおじいさんが出てきた。
白いローブを引きずっていて、いかにも魔法使いっぽい格好をしている。

「私しゃこの店の主人やっとります、弥太郎と申すもんです。よろしくでやんす」

おじいさんがそう言った。ちょっとしゃべり方がおかしい。何? この変なおじいさん。

「ちなみに私しゃ魔法使いでも変なおじいさんでもなかとよ。よろしくでやんよ」

……なんだこの人。今、もしかして私の心を読んだ?
読心術でも使えるのかな……。

「読心術も私しゃ使えんよ。よろしくでやんすよ」

またしても人の心を……っ!!
まあ、これに関して触れてたらキリがなさそう。よし、スルーだ。

それにしても、何でこの人は二言目が同じなんだろう。必ずよろしくって……(微妙に言い方違うけど)。

……あっ、もしかして私によろしくって言ってほしいってこと? それならもっと分かりやすく言ってくれればいいのに……。
とか心の中で愚痴りながら愛想笑いを浮かべる。

「よ……よろしくお願いしまーす」

「ところでお主、悩んでおるの? 彼氏ができないと」

おじいさんが白いひげを撫でながら顔を近づけてきた。
うぅ、近いっ!! 近すぎる!!