久しぶりに登校した日。


朝一番に職員室に寄って、真崎先生とイッペー君に、車で送ってもらったお礼を言った。


それ以来、イッペー君には話しかけることもなく、近づくことすらしていない。


廊下の向こうからイッペー君がやってくると、わざと渡り廊下で曲がったり、トイレに逃げ込んだりしていた。



菊池君には「諦め方がわからない」って言ったけど。


あたしは“諦める方法”を探していた。


イッペー君に対する“好き”を

“恋”じゃなくて、先生としての“好き”に戻そう。


それが生徒として、あたしがイッペー君にしてあげられることじゃないかって


そう思っていた。



そしてイッペー君の最後の授業。


その日もあたしはできるだけ、イッペー君と目をあわさないようにしていた。