「風邪……」

「へ?」


あたしは慌てて顔を上げた。

3メートルほど先から、こちらを振り返るイッペー君と目が会う。


「風邪、ひいてる?」

「えっ……うん……」


なんでわかったんだろう。

実は今朝から風邪気味だった。


でも、時々咳が出る程度の症状で

誰にも気づかれなかったのに。



「やっぱりなー。今日、出席取った時、声がヘンやったから」


そう言われて泣きそうになった。



なんでそんな小さな変化に気づいてくれるの?