イッペー君は自分のマフラーを外すと、あたしの首にグルグル巻きつける。

首だけじゃなくて顔の半分ぐらい隠れそうなほど、グルグルって。

さらには自分が被っていたニット帽をスポンとあたしの頭に被せた。


「変装完了―。これで誰かわからへんやろ」

って、楽しそうに笑う。


「変装って」


――そうゆう問題?


「えーから。はよ、乗れって」

「う、うん……」


できるだけそっと荷台に腰掛けた。

ドキドキする。

イッペー君と二人乗りなんて。

一生分の幸運を使い果たした気分。