次の日
バレンタインデー当日。
時間は午後6時45分。





「‥‥ふぅ」

深呼吸をした。
冬の夜風はひやっとしていて、吸い込んでもなお冷たい。



私はバイト先『ルミナリエ』の店の前に立っていた。

ガラス扉の目の前は店長に見られそうだから、
ちょっと横にずれて、柱の陰になるように。


手に持った紙袋の中には‥‥
夜中にこっそり作った、渾身のチョコレイト・ブラウニー。