「もうすぐ、修学旅行じゃない?」


「うん。本当は行きたくないけど・・」



ご飯を食べながらお母さんにそう返事をして肉じゃがをつつく。


「花の事なら任せてよ」

「そうだぞ?楽しんでおいで。そう言えば、想くんと一緒ってことは新婚旅行みたいだな」

「やだ、お父さんったら~♪」



新婚旅行か・・


いつか言ってたっけ?



2人でイタリアの建物が出てるテレビを見てた時、



「いいな~一生に一度でいいから行きたいな~」

クッションを抱きながら呟いたあたしに

「いいぜ?卒業したら、連れてってやるよ」


悪戯っぽく笑って

あたしの小指に想の小指を絡ませて


「指きりげんまん♪」



子供みたいな約束。


どこかで叶わないかもしれないって思いながらも、そんな風に約束してくれた想に嬉しくて。


「ひっく・・」

どうしてこんなに涙が溢れてくるんだろう?



あたし、いつから涙腺弱くなっちゃったの?


「メイ?」


ほら、お父さんとお母さんが心配してるから


泣きやまなくちゃいけないのに


「あたし、もう、想と、だめか、も」