「やっぱり、混んでるね?」

着いた動物園には人がいっぱいで


券の販売機には行列ができていた。


「入場券と交換してくるから、そこで待ってろ」



バッグから動物園の券を取り出して想に渡す。



「花、ここでママと待ってようね?」


大きく頷いた花は想の腕から下りて、今度はあたしの足もとにくっつく。



ほんと、子供って可愛いなぁ~



そんな事を思いながらどれくらい経ったかな?



目の前で遊んでいた花が突然



「いた!!」


横にいたおばさんにぶつかってしまった。



「すみません、花、ほらごめんなさいは?」



すぐに花のところに行き、ぶつかってしまったおばさんに頭を下げる。



あたしの姿を見た花も


ぺこりと一緒に頭を下げた。



「いいのよ?悪気があった訳じゃないんだし。」


そう言ったおばさんはあたしと花に笑顔を向けてくれた。



「本当にすみませんでした。」


「いいのよ?ちゃんと頭を下げるなんてえらいわね?」



花の頭をよしよしと撫でてくれる。



いい人で良かった。



と、


「あら、あなた、そんなヒールの高いサンダル履いて大丈夫なの?」


「え?」


あたしの足元に目が入ったのか突然そんな事を言ってきた。


「転ばない?万が一子供が怪我したらどうするの?」


「それに母親なのに、そんな短いズボンなんか履いて。」