「それで本当に学校辞めちゃったんだ」
リビングに焼きたての甘いパイの匂いが広がる。
「でもパパもバカだよねぇ?
本当に学校辞めちゃうなんて」
空っぽのカップにコーヒーを継ぎ足し
ママに意見を述べる。
「そうかな?だけどあの時は
本当に涙が出るくらい嬉しかったんだもん」
多分この辺ではどのママよりも若くて
可愛いママが頬を膨らませて口をと尖らせる。
「それで他校でもう一年3年生をしたなんて」
普通ならあり得ないことなんじゃないの?
「それでも二人で卒業をしたかったんだ」
ママと同じく若くてカッコいいパパが笑顔でそう言うと、
あたしの頭を優しくなでる。
「あ、花ばっかりずるい!!あたしも!!」
「ったくもう!!ママってば子供なんだから!!」
「だって想はあたしのモノだもん!!」
本当に年中ラブラブなんだから
呆れてしまうけど
だけど少しだけ羨ましかったりもする。