そう独り言をつぶやいて上履きのまま桜の木がたくさん植えてある中庭へと向かう。
花は今何してるのかな?
歩きながらふとそんな事を考えてしまう。
‘たくさんの可能性の花が咲きますように、そして花のようにいつも綺麗な心を持っていれますように’
あたしがまだ病院にいた時、想がそんな事言ってたっけ?
「花なんて単純な名前かも知れないけど。俺はこの子にいろんな可能性の花を開いてもらいたいんだ」
ちゃんと子供を愛してくれているんだ
これからもずっとこの子を守ってくれるんだ
想の話を聞いて涙が出そうになったな。
想はあまり自分の感情を表に出さない。
さっきのもあたしがキスされたくなかったんじゃなくて
きっと回りから見たらあんなのみっともないから
だから言っただけで
ヤキモチとか
嫉妬とか
そういうんじゃないんだろうな
上を見るとそこにはきれいに咲く満開のピンクの花
「想はあたしのことどう思ってるのかな」
そんな事を思いながら
チャイムが鳴るまであたしは満開の桜を見つめていた。


