水晶のネックレスを、レオノーラは手に取りました。


何かしら?
何だかすごく気になるのだけれど。


レオノーラは目の高さまで水晶を掲げると、じぃっと見つめました。


『ココカラダシテ』


水晶から、声が聞こえた気がしました。
聞き間違いかしら? とレオノーラは水晶を耳元に寄せてみます。

するとやはり小さな声で、

『ココカラダシテ』

と聞こえるではありませんか。

レオノーラは驚いて、部屋で休んでいたパメラを急いで呼んできました。

水晶を見たパメラは、すぐに商人からネックレスを買い、自分の部屋にレオノーラを呼び寄せました。
人払いの術を施し、今は喋っていいよと言い、それから水晶を色んな角度から眺め、うんうんと頷きます。


「やはり! レオノーラや、これは精霊の水晶だよ」


「精霊の水晶?」


「純度の高い、澄んだ水晶には精霊を引き寄せる力があるんだよ。力の強い水晶は、稀に精霊を取り込んでしまう。
多分、この中には引き寄せられて、出られなくってしまった精霊がいるね」


「え!? でも、その水晶は濁っていますけど」


水晶は黄色く濁っていて、そんなに美しいとは思えません。