グラディス王女は、かっと体が熱くなるのが分かりました。
本人は絶対に、何があっても認めないでしょうが、こんなに美しい娘を見たのは初めてでした。


何てこと。何てこと。


グラディス王女は、気づけば拳をかたく握って、ぶるぶると震えていました。


「ほほう、なかなかに美しいものだな。これが妖精譲りの美貌なのか。お伽話も嘘ではなかったか」


グラディス王女の異変に気がつかず、国王はにこにことレオノーラを褒めました。

すでにグラディス王女の怒りをかった娘は、ぺこりと頭を下げました。それと同時にパメラが言います。


「ですがのう、お伽話にもなかった事ですが、妖精はこの美しさの代わりに娘の声を奪っていったのですよ。
元は花売りなのですが、声が出なきゃ仕事にならん。哀れに思って弟子にしたのです。まああたしの召使いがわりですな」


「なんと。しゃべられないのか」


国王の残念そうな声。逆に、グラディス王女は勿体ぶったように、嬉しさの滲む声で言いました。