グラディス王女は、完璧に綺麗で美しい自分が大好きなのです。
大声をあげたりふくれたりして化粧の崩れた顔のまま城の中を歩けるはずがありません。
そうそう、ベッドにもぐりこんだり、飛び起きたりしてしまったから、髪も結い直さなくてはね。

綺麗に化粧を直し、時間をかけて髪を結ってから、グラディス王女は国王と一緒にいそいそと謁見室に向かいました。

私だけの幻の宝石。どうしようかしら、ブローチにしてみる? それとも指輪にしようかしら。
ああ、みんな羨ましがるでしょうね……。

グラディス王女はくすくすと笑いながら、応接間へと入りました。